だれでも、一番リスクの少ない選択をしたいと思う。そのために必要な情報をたくさん集め、できるだけ合理的で、だれもが賛成してくれるような選択肢を選びたいと考えがちだ。

じつは、この一見まっとうな考え方が、不安を増幅していることに気づいていない人は多い。ここにリスク管理の逆説がある。

いまの時代は、いくつかの選択肢の中から自分がいいと思うものをじっくり選ぼう、という姿勢でいると行き詰まる。選択肢が急に減ってしまったり、これを選べば、この先ずっと大丈夫だと思って選んだはずなのに、それがガラガラと崩れてしまうということが起きるからだ。

人から与えられたものを選ぶことで安心していてはいけない。十五年前ならいい選択肢だったが、今日はもうジリ貧の選択肢でしかないということが、しばしばあるからだ。

そんなとき大事なのは「プロデュース能力」だ。自分で新しいものをつくり、変えていく。仕事でも人生でも、何通りもの選択肢を自分でつくるのだ。

いま、それをする人は一目置かれる。応援してくれる人が必ず現れる。抵抗や妨害はあると思ったほうがいい。新しいことをしかけるときは、そんなものだ。だが、現状じゃダメなことはみんなわかっているから、粘れば結局は実現できる可能性が、十年前より明らかに増大している。いま、かりに自分からはそういう行動を起こせなくても、心の中でひそかに、プロデュース能力をもった人の登場を待っている人は多い。

自分の中に答えを探す。そして、やってみる。抵抗があっても、すぐには諦めない。どうしてもダメなら、一回「保留」にして時を待つ。または、次の機会を考えて、また別のことをやってみる。

じつは、いまこの考え方が、一番リスクが少ない。自分がいったい何者なのかを知ることは、ほんとうに大事なテーマになった。

何ができるのか。何をやりたいのか。何をやってきたか。人からどう思われているのか。有形無形のどんな財産を自分はもっているのか。自分自身についてしっかり探究して、これらを自己確認しておくことが非常に意味があるのである。自分のやりたいことを追求する姿勢が未来を拓くのだから、状況は必ず自分にとって楽しいものとなる。

自分の未来を「プロデュース」するためには、自分のやりたいことから発想する習慣が大事だ。もっともそれだけではダメで、人に対して、どんな貢献ができるかという視点を忘れない。さらに、助けてくれる人、相談相手、実現のために最前線で手伝ってくれる人を見つけて、その気になってもらうことも必要だ。

敷かれたレールにのっかるより、自分でプロデュースしたほうが未来は拓ける。