コンサルタントの事件簿

実現する夢の描き方






プロデュースは、「自分は、こんな未来を実現する」という未来仮説を、みずから行動を起こすことで検証していくプログラムだといえる。
仮説とは、「限られた情報をもとに考えた、いまの時点での仮の答え」である。
構想がどんなに素晴らしいものであっても、プロデュースには、「何が起きるかは、やってみなくてはわからない」という不確実な部分が残る。
ロマンチックな表現をすれば、プロデュースは、未来へと向かう仮説検証の旅である。
行動すると、みえなかったことがみえてくる。そして、仮説自体が修正され、より正しい仮説が立てられるようになる。行動によって新しい情報を得て、「この方法でいこう」とか、「誰に何をやってもらえば、うまくいきそうだ」ということが明確になっていく。ビジョンを実現するための戦略立案も、自信を持ってできるようになっていく。
プロデュースの未来仮説は、自分自身が行動したくなる、あるいは行動せざるをえなくなるものである。だからこそ、夢は実現に向かって動き出す。
どうすれば、そういう未来仮説を頭のなかに描くことができるのだろうか。





未来への仮説





過去や現在に関する仮説は、必要な情報がそろっているほど、正しい答えに近い仮説が立てられる。
しかし、未来に関する仮説は、少し違う。
どれほど情報を集めても、正しい答えに近づくとは限らない。
選挙の予測や、株式市場の予測は、想定外の出来事が一つ起きてしまうだけで大きく狂ってしまう。
未来を創りだそうというときに、集まる情報は、じつは常に古いものだ。
やろうとすることと類似の事例が半年前にあったとしても、半年前にやるのと今やるのでは、条件はどこかが違う。
何より、やる人間が違う。組む相手も違う。共感して応援してくれる人も違う。想定外の支援者が現れて、プロデュースの影響力が非常に大きなものになることも常にありうる。
新しい試みは、データからは予測できない状況を巻き起こしていく。
「周囲の人々からみれば、まったく想定外」の新しい事例を、自分自身の手でつくりだしていこうと考えて、行動を起こせば、いま集められる情報、過去のデータでは計り知れない未来を創りだすことも可能になる。
「どうせおまえなんかにできるはずがない」といわれた人が、何くそと発奮したり、自分を信じて粘り強くがんばったりして、誰もできると思っていなかったことをやり遂げることは、よくあることだ。
プロデュースは、未来に向かってこんなことを起こしたい、こんなことを実現したいという強い思いを持って、自分自身が動き、人も動かし、そして、変化を起こして新しい未来の状況を想像するという行為である。
それはまさに、(周囲の人々からみれば)これまでの体験や事例からは想定できない出来事を起こして、未来仮説を証明するということにほかならない。
最低限の情報は必要だが、たくさん情報を集めてから動くより、実際に動きながら情報を集めていくほうが、より正しい未来仮説ができあがる。情報が不足していても、この方法でやってみようと思えれば、動いてみたほうが実現しやすくなる。
それはなぜだろうか。
自分が動いてみたからこそ、気づいたり、発見したりする情報は非常に多い。
自分が語ったからこそ、相手が語ってくれる情報は常にある。
また、自分が動くこと、そして語ることは、自分から周囲に情報発信することである。それが、自分と周囲の関係を変えたり、周囲のムードを変えたりする。
自分の夢について、あるいは夢の背景にある自分の熱い思いを話せば、周囲に共感が起きる可能性がある。
周囲に変化が起き、共感者、支援者が登場するたびに、「こんな未来を実現したい」というビジョンは、自分のなかでも、周囲の人々の間でも信憑性が高まっていく。なぜなら、一人の人間が自分の思いを持って行動を起こし、周囲に変化を起こしはじめていること自体が、ビジョンに向かって前進している証となるからだ。
だからまず動いてみたほうが、実現しやすくなるのである。
プロデュースには、こうした「やってみる」ことによって未来を拓いていくためのマインドと思考体系が必要だ。
それは、自分自身をやる気にし、やる気を持続させる思考でなくてはいけない。
また、プロデュースが人の協力によって実現するものである以上、人を説得したり共感を得たりできるロジックをつくりだす思考でなくてはいけない。
その思考を「プロデュース思考」と呼ぶことにしたい。