コンサルタントの事件簿

おかしいと思ったことを変えていく






日々忙しく目の前の仕事と格闘し、時が過ぎていく。ふと、これでいいのかと疑問を感じても、立ちどまる余裕すらない。自分のやりたかったことをやっていない事実は明らかで、いまの仕事に積極的な意味を見いだすこともできない。しかし、仕事をやめることもできない。
忙し過ぎて家族ともまともにコミュニケーションできず、孤立していく。組織や仕事自体におかしな点を感じても、それを指摘すらできず、いつのまにか自分の角がただ丸くなって、疲れて元気がなくなり、次第に思考停止に陥っていく。こういう状態になっている人は少なくない。
意外かもしれないが、最近は、伝統的に社風がいいといわれた、給料の高い一流企業に勤める人たちに、こういう傾向が強まっている。
そういう会社には共通の特徴がある。
財務状況は比較的良好だ。まだゆとりがあり、その意味では、本当の危機はまだ訪れていない。だが、これまでの業界の構造が大きく崩れかけ、先行きが危うくなっている。このあたりで、新しい魅力的なビジョンと戦略を打ち出して、変革を起こしていかなくてはいけないのだが、それができていない。
その結果、とりあえず目先の利益を少しでも確保するために一人ひとりに与えられた仕事量が、ただただ増えていく。いまは多くの社員がそれに従っている。しかし、つぎつぎと矛盾が吹き出してくる。根本的解決が必要だと多くの社員が感じているが、優秀なはずの社員たちは、皆忙し過ぎて十分な時間を取れない。こうして悩みは深まるばかり。





はたして、どうしたらいいか。
こういうときは、組織の方針や仕組みが自然に変わるのを待っていてもダメだ。もしかしたら、それができるのは自分かもしれないと考えたほうがいい。
みんなが、一旦会社の方針を棚上げして、自分の感覚を信じることが重要だ。
しかし、自分の感覚って何だったのだろうかと、わからなくなっている人も少なくないだろう。
自分がほんとうにやりたかったことは何なのかを改めて深く考える。そして、どんなに忙しくても、おかしいと思ったことを変えるために時間を存分に割く。その結果、通常の仕事が遅れても仕方ないと割り切る。
誰にでも、自分にできることがある。
それを、いまからはじめることだ。
好きなこと、やる意味を感じることに時間を使う習慣を意識してつけないと、こういうときはブレークスルーできない。
真面目な人ほど、目の前の問題を強く感じているのに、与えられた仕事をこなすことを第一の責任と考えて、矛盾を解消する行動には移れない。そうして悩みを深くして、だんだん元気を失ってしまう。
不正はいけないが、やっていい「悪いこと」はけっこうたくさんある。
「悪いこと」をできる人が、いまは会社を救うヒーローになれる時代ではないだろうか。





自分の感覚を信じて動かなければブレークスルーはできない