コンサルタントの事件簿

プロデュースの広がり






新しい何かを創りだす(「何か」はモノではなく状態でもいい)ことを幅広くプロデュースととらえる考え方は、いまや、さまざまな業界や職種に広がっている。
新規事業をプロデュースする専門家は、ビジネス・プロデューサーと呼ばれるようになった。
社員が、新規事業開発担当として、社員のままビジネス・プロデューサーになる場合もある。
いっぽう、プロフェッショナルとして、クライアント企業から事業のプロデュースを依頼されたり、複数の企業がタイアップすることによって実現可能な新しいビジネスを、みずからの人脈や専門知識を武器に提案し、外部ブレーンとしてコーディネイトしていくビジネス・プロデューサーも多数存在している。
変革の仕掛け人は、一般には変革プロデューサーと呼ばれているわけではないが、変革プロデュースという言葉は、新しいビジョンを掲げて人を巻き込み、変革を起こして広げて新しい状況を生みだしていく、という意味でまさに内容通りの言葉として通用する。
顧客から多額の資産を預かって運用する投資顧問会社や、大手の法人を相手にシステム付きでコンピュータを売るメーカーでは、いかに相手と継続的にいい関係をつくっていけるかが一大テーマである。顧客のいいなりになるスタイルでは、逆にいいサービスを提供することができないことは、もはや明らかで、そこからリレーションシップという言葉が生まれている。この言葉は、いかに良好なリレーションを想像するかが最重要テーマだと明確にすることで、そこに関わる人々の意識を一つにまとめる働きを持っている。
この「リレーション」もまた、プロデュースするという考え方が非常にマッチしている。
これは個人と個人の関係でも同じである。ふつうは「お互い、いい人間関係をプロデュースしましょうね」などと話しをすることはないだろうが、人間関係は、プロデュースするという考え方で想像的、発展的に進化させていくことがしやすい。
仕事の人間関係だけでなく、家族や地域コミュニティ、クラブ、また一対一の友人同士、恋人同士の人間関係でも、このことは当てはまる。





さらに、自分自身をプロデュースするという考え方も需要になってきた。
いったん、どこか大企業に就職すれば安泰だというようなキャリアのレールが幻想に過ぎなくなった時代には、自分のビジョンを持って、ときどきそれを見直しながら、状況に応じて自分をプロデュースするという作業は非常に有効で、創造的、発展的に成果をもたらすことが多いのである。
いくつか用意された選択肢から、これまでの情報を参考にして選んだり、決まったスタイルに自分を合わせていくために用意された訓練を受けるという発想ではなく、新しい事例を自分がはじめに創りだすという発想がどこかにあってはじめて、未来が拓けてくることは非常に多い。
また、将来のキャリアではなくとも、前述したように「自分のファッションやスタイル、表情や言葉遣いをガラリと変えて新しい自分になる」ということにも、プロデュースの要素が十二分にある。
さらに、かたちのない「誇り」「プライド」「イメージ」といった精神的なものもプロデュースできる。
いや、そういう人間の心が関係するものこそ、文字通り(生みだそうとすることによって生まれるものだという意味で)プロデュースしていくものだといってもいいだろう。