自分の蝶を放て!

プロデュースとは③






プロデューサーとは、プロデュースを行う人である。
プロデューサーという言葉は、もともとテレビなどのメディア業界や広告・イベントなどの業界、そして映画や音楽などエンタテインメントの業界で、製作(制作)責任者を指す呼称として使われてきた。
つまり、プロデューサーは半分は職種の名前であり、半分は役職を表す呼び名だったといえる。
テレビ局のプロデューサーは、制作セクションの部長級を指すことが多く、実際に文字通りプロデュースの仕事をしているケースはもちろんあるが、一歩後ろに控えて予算権限を持つ制作部門の管理が主業務である場合も多い。プロデュースという言葉の意味通り、番組のプロデュースをしているとはいいきれない場合もある。
こういう現実があったために、プロデュースという言葉に「業界っぽい」イメージを持つ人は少なくないだろう。また、プロデューサーという言葉も、何を生みだす人なのかという焦点があいまいなまま使われてきたといえる。
21世紀に入る頃から、さまざまな業界、職種で、名刺の肩書きにプロデューサーと書かれている人が急増した。
事業そのものを企画したり、製品を企画したり、調査やイベントを企画したり、新しい販路を開拓したり、教育研修の企画を立てるといった企画スタッフで、ある程度実績のある人が、プロデューサーの肩書きを持つようになったケースが多い。
また、職種によらず、仕事の領域を拡大し、みずから新しいビジネスや商品、技術や手法をつくりだしたり、変革を起こすべき役割の人材に「プロデューサー」の肩書きを与え、企業内プロデューサーとしての活躍を期待する人事制度を導入している企業もある。
プロデューサーの肩書きには、その人が専門分野のなかで、文字通りプロデュースすることが仕事であり、しかもキャリアを重ねてプロとして十分な力があるというイメージがある。
企画をする仕事ならプランナーでもいいはずだが、プランナーよりプロデューサーのほうが役職の面で偉いイメージがあるのである。
いまでは、プロデューサーという呼称は「企画のできる偉い人」という意味の記号やシンボルとしての役割も果たしている。部長級相当のキャリアのある人たちに対して使われることもある。これには、組織の構造改革で組織がフラット化し、部長クラスのポストが減ったことも影響していると考えられる。
いっぽう、自分の専門分野を生かして、何かを生みだす仕事をするプロフェッショナルたちが、課長や部長といった旧来からの役職にありながらも、同時にプロデューサーと名乗るようになったケースもある。
このことは、プロデュースが重要な仕事であり、一般的なこととして通用するようになってきた証拠だといえるだろう。
プロデューサーという名称の使われ方は、プロデュース本来の意味通りになってきたのである。