
会社の外で、自分の力が見えてくる
キャリアを会社の中だけで考えていると、自分の力がどこまで通用するのかは見えにくい。そこで一度、視点を会社の外に移してみると、別の景色が見えてくる。
副業を認める企業が増えている背景には、会社が定年まで雇用を保証できない時代になったという現実がある。
同時に、「会社の外でも通用する力を持った人に仕事をしてもらわなければ、他社に勝てない」という事情もある。
副業とは、個人が事業主として価値を提供し、対価を得る行為だ。そこでは、社内の肩書きや評価はほとんど意味を持たない。通用する力がなければ仕事は続かず、報酬も実力に見合ったものになる。
この厳しさによって、自分の力がどの程度なのかが、はっきりと見えてくる。
足りないとわかれば危機感が生まれる。その危機感は、漠然とした不安ではなく、行動に移るためのきっかけになる。
副業ができるという事実は、「いざというときにこれがある」という心の支えにもなる。
それを意識しながら自分を磨いていこうという前向きな気持ちも生まれる。
もちろん、無理をしてまでやるものではない。本業がうまくいっているなら、それに集中するのが最善な場合もある。
それでも、「副業ができる自分」であるとわかることが、不安を減らし、自信につながる効果は小さくない。
会社の外に出てみると、もう一つはっきりとわかることがある。それは、個人の力が直接市場にさらされる世界では、変化が非常に速く、評価もシビアだということだ。
クリエイターの世界で起きている変化
これまで多くのクリエイターやビジネスパーソンに関わってきた中で、強く感じているのは、クリエイターの二極化だ。
ツールの進化やクラウドソーシングの広がりによって、専門職でなくても、一定水準のアウトプットを出せるようになった。
その結果、安い価格で、そこそこの仕事が市場に多く出回るようになっている。
こうした仕事は、会社員の副業として行われることも多い。
得意な技術を生かしながら腕試しができ、ビジネスとして成立する点で、意味のある取り組みだ。
一方で、従来クリエイターが担ってきた仕事領域に、価格競争が起きているのも事実である。
安い仕事を断り続ければ、仕事そのものが減ってしまう可能性もある。
こうした環境の変化の中で、ただ技術を提供するだけでは立ち位置が不安定になりやすい。では、どこに軸を置けばいいのか。
つくる人から、目的を考える人へ
それでも、確実に稼げるクリエイターになっていく方法はある。
それは、クライアントに対して、クリエイティブワークが必要になる元の目的を理解し、
「こうすれば、こういう未来を実現できるのではないか」と提案できる存在になることだ。
何のためにそれをやるのかがわかっていて、そのために自分の力をどう使うかを考え、結果を振り返ることができれば、人は必ず成長していく。
この視点を持てば、個別の技術があるかどうかにかかわらず、
クリエイティブワークを統括する立場として、高い報酬を得ることも可能になる。
クリエイターは、プロデューサー要素と、少しのコンサルタント要素を磨くことで、自分固有の技術を、より高い価値で提供できるようになる。
目的から仕事を考え、提案し、行動していくと、計画どおりには進まない場面にも必ず出会う。そこで重要になるのが、起きた出来事をどう受けとめ、次につなげるかという視点だ。
偶然を取り込みながらキャリアをひらく
キャリアは、思い描いたとおりに進むとは限らない。
変化の激しい時代には、起きた出来事を受けとめ、その中で自分を磨いていく力が重要になる。
「計画的偶発性理論」は、
自ら行動して機会をつくり、そこで起きた予期せぬ出来事から学び、次の手を打っていくことの重要性を示している。
そのために必要なのは、好奇心、執着心、柔軟性、楽観性、そしてリスクを取る姿勢だ。
フィールドワークのように、現実の場で体験しながら学ぶ機会には、必ず偶然が伴う。
その偶然を活かし、自分の仮説を修正しながら挑戦を続けることが、キャリア創造につながっていく。
副業やクリエイティブワーク、フィールドワークを通じて行動を重ねていくと、偶然の出来事は特別なものではなく、キャリアを形づくる要素の一つだとわかってくる。
自分の手で機会をつくり続ける
「自ら機会をつくり出し、機会によって自らを変えよ」という言葉は、
特定の企業に限らず、個人のキャリアにも通じる考え方だ。
会社の枠の中だけで完結しない力を身につけ、
必要であれば外に出て試し、学び、また戻ってくる。
副業、クリエイティブワーク、フィールドワーク。
それらはすべて、いざというときに自分の力で何とかできる状態をつくるための、現実的な手段だ。
キャリアは、誰かに保証されるものではない。
だからこそ、自分の力を確かめ続けることに意味がある。

