自分の蝶を放て!

ブレークスルーするためにあなたは何をすべきか






ビジネスパーソンが壁を越えるとき、あるいは脱皮するときのパターンを、「技術・企画レベルの高度化」と「コミュニケーションレベルの高度化」の二つの軸をとって、キャリアの発展構造から考えてみることができる。
人は誰でも技術・企画志向とコミュニケーション志向のどちらかを持っている。二つを併せもっている人が多いが、おおむねどちらかの志向が強い。
職種によって、かなりどちらかに重点があると思われるものもある。代表的なところでいえば、営業マンはコミュニケーション志向が高い人が多く、開発設計担当者は技術・企画志向が強いものである。
ところが、組織のなかでキャリアを積んで役職があがるにつれ、営業マンはもちろん、開発設計マンをふくめてすべての職種で、「コミュニケーションレベルの高度化」の軸の重要度が上がってくる。
それは、キャリアを積むほど、リーダーシップを発揮してほしいという組織の要求が生まれ、また、夢の実現に近づいていけばいくほど、より多くの人たちの協力が必要になってくるからである。創造的にディスカッションしたり、人を説得したり啓蒙する場面は、やりたいことができるようになるほど、自分に影響力が生まれるほど増えるものなのである。
したがって、技術・企画要素の強い仕事をする人ほど、自分を評価して新しい役割を与えてくれる人や、自分の技術を何かとマッチングして新しい価値を創造してくれるプロデューサーとの出会いがブレークスルーにつながりやすい。あるいは、自分自身がプロデューサーとしての力をつけていくことによって新しい世界がひらける。
逆に、もともと人脈やネットワークを広げてビジネスを展開しようとする志向の強い人の中には、自分が知らなかった新しい技術やコンセプト、思考の枠組みなどと出会ったり、自分自身が技術力・企画力を身につけたり発揮したときに壁を越えるケースが多くみられる。
法人相手に問題解決を提供する営業マンは、特定分野に関する専門能力と提案力が要求される。顔が広いとか、好感度があるというだけではいずれ壁にぶつかってしまう。
社内の技術スタッフと対等かそれ以上の問題意識を持ってプロジェクトリーダーの役割を果たせるかどうかが、ブレークスルーのポイントになる。
継続的に学習研鑽して専門能力を高め、高い問題解決能力を発揮することではじめて、クライアントから深く信頼され、社内にも影響力を強めて、大きな仕事ができるようになる営業マンは少なくない。技術・企画レベルを高めることで、コミュニケーションレベルも高まるのである。
個人相手の営業でも同じことがいえる。
たとえば、生命保険の営業では人脈・ネットワークは命である。人に気に入られ頼りにされなくては顧客は広がらない。人間的に好人物で顧客から「可愛がられる」ことは大きなプラスだが、それだけでは限界がある。
顧客である中小企業経営者の財務アドバイザーができるような能力を身につけたり、高度なシミュレーションや独自のプレゼンテーションを可能にするスキルを持ったり、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取ったり、人生設計に関して共感できるコンセプトを提案したり、さまざまな事例をもとに分析して評価できる能力を磨き、クライアントに問題解決を提供できて、はじめていい人脈をつくっていけるのである。
問題解決型の営業マンは、どんな業界でも、技術・企画レベルを高められるかどうかが壁を越える条件になる。
自分自身の専門性やビジョン、コンセプトが評価されたときに自分に対する信頼性や期待が一段と高まり、人脈・ネットワークがそれまで以上に生かされるということである。