自分の蝶を放て!

自分の夢を実現し幸せになるための選択と行動


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だれでも、一番リスクの少ない選択をしたいと思う。
そのために必要な情報をたくさん集め、できるだけ合理的で、だれもが賛成してくれるような選択肢を選びたいと考えがちだ。
じつは、この一見まっとうな考え方が、不安を増幅していることに気づいていない人は多い。ここにリスク管理の逆説がある。

いまの時代は、いくつかの選択肢の中から自分がいいと思うものをじっくり選ぼう、という姿勢でいると行き詰まる。選択肢が急に減ってしまったり、これを選べば、この先ずっと大丈夫だと思って選んだはずなのに、それがガラガラと崩れてしまうということが起きるからだ。
人から与えられたものを選ぶことで安心していてはいけない。十五年前ならいい選択肢だったが、今日はもうジリ貧の選択肢でしかないということが、しばしばあるからだ。





ではこの時代に、自分の夢を実現し幸せになるためには、何を選択しどんな行動をすべきなのだろうか?





目次





  1. いまの時代に必要なのは「プロデュース能力」
  2. 夢が実現するプロデュースの法則
  3. プロデューサーの「小さな行動」と4つの目的




いまの時代に必要なのは「プロデュース能力」





そんなとき大事なのは「プロデュース能力」だ。自分で新しいものをつくり、変えていく。仕事でも人生でも、何通りもの選択肢を自分でつくるのだ。
いま、それをする人は一目置かれる。応援してくれる人が必ず現れる。抵抗や妨害はあると思ったほうがいい。新しいことをしかけるときは、そんなものだ。だが、現状じゃダメなことはみんなわかっているから、粘れば結局は実現できる可能性が、十年前より明らかに増大している。いま、かりに自分からはそういう行動を起こせなくても、心の中でひそかに、プロデュース能力をもった人の登場を待っている人は多い。
自分の中に答えを探す。そして、やってみる。抵抗があっても、すぐには諦めない。どうしてもダメなら、一回「保留」にして時を待つ。または、次の機会を考えて、また別のことをやってみる。
じつは、いまこの考え方が、一番リスクが少ない。自分がいったい何者なのかを知ることは、ほんとうに大事なテーマになった。
何ができるのか。何をやりたいのか。何をやってきたか。人からどう思われているのか。有形無形のどんな財産を自分はもっているのか。自分自身についてしっかり探究して、これらを自己確認しておくことが非常に意味があるのである。自分のやりたいことを追求する姿勢が未来を拓くのだから、状況は必ず自分にとって楽しいものとなる。

自分の未来を「プロデュース」するためには、自分のやりたいことから発想する習慣が大事だ。もっともそれだけではダメで、人に対して、どんな貢献ができるかという視点を忘れない。さらに、助けてくれる人、相談相手、実現のために最前線で手伝ってくれる人を見つけて、その気になってもらうことも必要だ。





夢が実現するプロデュースの法則





プロデュースは「やりたいこと」がなければ、はじまらない。
しかし、「やりたいこと」が周囲に影響することであればあるほど、「自分がやりたい」だけでは実現しにくい。
プロデュースには、「個人のやりたいことは、別の人のやりたいことと重なったとき、大きな力を得て実現に向かって前進する」という法則がある。
プロデュースは、共感者、支援者、そしてともに行動してくれる仲間が登場して、小規模でも強力で心強い行動態勢ができるかどうかが実現への鍵になる。
やりたいことを実現するために、自分一人で発想をふくらませたり、悩んだり、情報を集めていろいろなことを確かめたりするというプロセスは必要である。
だが、どこかの段階で、やりたいことへの共感者が現れ、一つのビジョンを掲げて活動するチームができたとき、プロデュースは実現に向けて大きく動き出す。
どうやってやりたいことを実現するチームをつくるか。
それが、プロデュースをカタチにするための行動の鍵だ。





プロデュースというと、さまざまな能力を持った人間たちを動かして世間をあっといわせるような何かをすることだというイメージを持つ人も少なくないだろう。
夢を実現させるため、変革を起こすためには行動を起こさなくてはいけない。
しかし、いきなり、周囲をあっと驚かせる行動に出たり、すごい宣言をしなくてはいけないわけではない。
動いてほしい人たちを動かすためには、それなりの「仕込み」が必要だ。
自分自身のやる気が高まっていくプロセスをしっかりつくることも必要である。
実現したいというモチベーションが高まり、自信を持ってプレゼンできるだけのバックグラウンドが自分のなかにできていなくては、人を説得する迫力が出ない。仲間になってほしい人、支援してほしい人を巻き込めるロジックもほしい。





プロデューサーの「小さな行動」と4つの目的





プロデュースには、周囲から明らかに行動をはじめているとみえる前にしておかなくてはならない、目立たないが重要な行動がある。
それが、プロデューサーの「小さな行動」だ。
「小さな行動」とは、自分自身の判断で実施できる広い意味でのリサーチ活動である。
リサーチといっても調査・情報収集だけではない。実験・シミュレーション、広報、根回し、人脈づくり、支援者探し、チームメンバー候補探し、ビジョン・戦略づくりなどを含む。
探りを入れたり、新しくわかった情報をもとに考え直したり、説得したい人にアプローチするためのツールをつくったり、プロデュースを大きく実現に向けて進めていく動きを起こす前の仕込み(準備)は、すべて「小さな行動」である。





プロデューサーの「小さな行動」とは、具体的には次のようなものだ。
自分の構想をプレゼンして、相手にどのくらい共感されるかを確認したり、ディスカッションしながらアイディアをもらったりする。
どうすればやりたいことができるのか、そのヒントになる情報を調べる。
自分でさまざまな実験的な行動をして、「疑似体験」をもとに「本番」を想定した準備をする。
多くの人にイメージが湧くような見本となるものをつくる。
自分のやりたいことが人々にどういう役に立つのかを考え、関係する人々にとっても魅力を感じられるビジョンをつくる。
相手に話をする際に使うシートをつくったり、プレゼンに必要な道具をそろえたりする。





「小さな行動」の目的は次の四つである。





  1. 生の情報を収集する
  2. 支援者・共感者をつくる
  3. より良い未来仮説をつくる
  4. 自分のモチベーションを高める




プロデュースの成功は、チームをつくる以前に、どれだけ有効な「小さな行動」ができるかにかかっているといっていい。
「小さな行動」は、プロデュースの方法をより具体的に考えたり、組むべき相手を想定したり、プロデュースのさまざまな場面で必要になるプレゼンの質を高めたりすることを可能にする。
プロデューサーは、構想の段階から「小さな行動」をたくさんしている。
小さな行動によって、プロデュースの構想は磨かれていく。
実際に動くことによって、プロデュースに必要な情報が得られ、見えなかった支援者、共感者が見えてくる。人脈もできる。実行チームのイメージも湧いてくる。
それによって自信が生まれる。足りない部分も見えてくる。
ディスカッションしたり、自分の考えをプレゼンしたり、相手の考えをヒアリングしたりする過程で、自分の考えがどれだけ通用するものかがわかってくることは少なくない。人から、アイディアやアドバイスをもらうこともできる。
さまざまな貴重な生情報が得られるのも、こうした「小さな行動」をするからである。
「小さな行動」をするほど、より現実的で具体的で魅力的な実現までのイメージを持つことができるようになる。
小さな行動は、思考を整理するためにも大変役立つ。
未来仮説をつくるには情報が必要である。仮説を検証し、さらにいい仮説にするためにも情報が必要である。
とくに、自分の目や耳や肌で直接確かめたり感じたりして集めた情報が、非常に役立つ。
自分だけが知っている生情報があるほど、ワクワクする未来への物語をつくりやすい。それが、自分もモチベーションを高めるもとになる。