自分の蝶を放て!

だから、チームをつくるのだ!






プロデュースは、自分だけでなく、目的を共有する仲間がともに行動してくれることで、はじめてカタチになっていく。
自分の構想を聞いた第三者が、自分の思惑通り賛同してくれるかどうかは、実際にアプローチして直接確かめるまではわからない。
どんなすばらしい構想も、共感してほしい相手が、必ず共感してくれる保証はない。所詮、思考は自分の頭のなかにある個人的な世界であり、シミュレーションは自分で勝手につくりあげた虚構の物語にすぎない。
しかし、魅力的な構想には人を動かす力がある。また、どうしてもやりたいという熱い気持ちは、やはり人を動かす力を持っている。
共感して高いモチベーションを持って関わってくれる人は、どこかにいる。
プロデュースには、構想を実現するために手を結ぶ人々が、プロデューサーの周りに集まってくるときがくる。すばらしい力を持った想定外の協力者が現れることも十分にありうる。
チームができれば、実行のパワーは何倍にも何十倍にも増える。
これは、本当にダイナミックな、目にみえる転換である。
この転換をつくりだすために、プロデューサーは、魅力的なビジョンを掲げ、どんな未来を目指すかを示す。
そして、チームをつくるべく、動くのだ。





チームは、一人ではできないことを可能にする。
「プレゼンがうまくなる」という個人的なチャレンジですら、自分のプレゼンをみて、いいアドバイスをしてくれる人がいるだけで、成果はまったく変わってくる。
プレゼンのやり方自体を指導してくれたり、問題意識のブラッシュアップをするためにディスカッション相手になってくれたり、企画内容そのもの、プレゼンの構成を一緒に考えてくれたり、プレゼンツールのつくり方、プレゼンの際の服装、使用する道具、プレゼンのストーリーに盛り込むネタの仕込みをアドバイスしてくれたりする人がいれば、プレゼン能力は、間違いなく格段にアップする。
誰かに協力してもらうことによって、一人でがんばっていても到底できなかったことが短時間で実現可能になるのだ。
やりたいことの種類によっては、短時間でやらないと実現そのものが不可能になる場合もある。だまっていれば自分の考えていることと同じことを先にやられて、あとからやる意味がなくなってしまうこともある。
しかし、チームでやれば、同じことを早くカタチにできる。
自分にはできないことをやれる能力のある人たちと組めれば、自分の力の限界をはるかに超越したすごいことも実現可能になる。
金もなく人もいないところからスタートするベンチャービジネスの創業者は、なんでも自分でやる覚悟が必要だ、とよくいわれる。
実際に、創業者は多くのことを一人でやっている。だが、一人ですべてをやることはできないし、その必要もない。
たとえば、シルバー世代に優しいファストフードのチェーンを店舗展開しようという創業者にとって、一人でできることは、はじめから限定される。
メニューの開発や、店舗のイメージを自分でつくれたとしても、実際に店をつくり、食材を仕入れ、調理し、客を連れてくるための宣伝活動をし、経理業務をし、アルバイト店員を雇い、教育し、勤務時間のシフトを組んでいくというところまで、たとえ最初の一店舗目であっても、一人では難しい。
自分が掲げたビジョンには賛同してくれたスタッフたちに、さまざまな役割を担ってもらわなくてはスタートを切ることはできない。
サンドイッチをつくるのが非常に早くてうまい調理担当者がいれば、プロジェクトは大きく前進する。客集めに才能を発揮するスタッフがいれば、大きく前進する。税理士事務所をやっている友人が「しょうがないなあ、儲かるまでは安い報酬でやってやるからがんばれよ」と経理業務を請け負ってくれれば、また前進する。
だから、チームをつくるのだ。