コンサルティングをやっていると、あくまで精神的にですが、組織のなかでヤクザやツッパリをやっているんじゃないかと思う人と、たくさん出会います。
なかには、喧嘩しながら相手を値踏みしようとしてくる人もいます。
強い疑いのまなざしでこちらをにらみつけ、「あなた、ほんとにできるんですか」などと挑発するような言葉を次々投げつけ、こちらも熱くなり本気で喧嘩に応じ、本音で言いたいことを言いあい、まわりが全員ハラハラしながら止めに入るという異常事態になったこともあります。
それでも、よろこんで取引してくれたのは、喧嘩しながら仲良くなることができたからにほかなりません。
相手の目を見ていると、激しく口論しながらも、しだいに、相手の目に満足感がひろがっていくのがわかるのです。
口ではぼろくそ言いながら、目が「よっしゃ、にいさん、わかっとるやないか」と言っているわけです。
こっちも、負けずに「何言うとんねん、あんたの方こそおもろいやないか」という目線をお返ししながら、喧嘩が終わる頃には、もう完全にオッケーになっていくわけです。
そんなときは、いったん仕事がはじまれば何もかも話が早くやりやすく、「あうんの呼吸の浪花節」という状況が生まれていくものです。
また、ミーティングの場で、わざと外部の人間のいる前で日頃の鬱憤を発散させ、上司やトップに食ってかかるような人もいらっしゃいます。こういう体験は、五回や十回ではありません。
これは、どう見てもリスクがある行動です。
しかし、そうやって、自分の本音がどこまで組織の幹部に認めてもらえるか、第三者の前ではっきりさせたいという自分の気持ちが限界点に達しているということでもあります。だから爆発してしまうのも仕方ないのです。
じつは、そこで意見が通らなくても、かりにガツンと叱られても、それだけで駄目というわけではありません。
相手が自分の挑発を受けてくれ、本気で答えを投げ返してくれれば満足できる場合が少なくないのです。