自分の蝶を放て!

あおり運転をなくすプロデュース






危険なあおり運転は、取り締まられるようになってきました。
しかし、パトカーは、いつも都合よくそこにいてくれるわけではありません。





遅い車に行く手をふさがれた「速く走りたいクルマ」がある限り、
あるいは、前を走るクルマに、何らかの気に入らない運転をされたと感じる「頭に来たドライバー」がいる限り、あおり運転はなくならないでしょう。





大事なことは、あおらないこと、だけではありません。
あおられないこと。あおられたとき、あおられそうになったときに危険を回避することが非常に重要だと思うわけです。





私は、けっこう運転します。
運転には深くて豊かな世界があると思っています。
ときに渋滞もある日本の道を運転しながら、
どうすれば、快適に走れるか、そして、安全でいられるか、
常に考えてきました。





快適で安全に走る方法は、たくさんあります。





クルマの走行というのは、常に周囲のクルマとの関係に左右されます。
つまり、相手がある話。





自分の周りを走っているクルマがどういう気持ちでいるか、
どういう走り方をするのか、





といった、その車種や運転者の特性も含めた、
いわばクルマの性格をつかむことが大変重要です。





その性格をつかむために許される時間はきわめて
少ないかもしれません。しかし、わかることはあります。
限られた時間の中ででもできる仮説立案、分析検証は、
たしかにあります。





運転するときというのは、頭のなかは、あるていど余裕があります。
けっこう考える時間があります。





運転していれば、前後左右、様々なクルマと隣同士になるわけですが、
相手の特徴をつかみ、
そういう相手から見ると、今の自分の運転はどう見えるだろうか、
などと考えてみることもできます。





そうなると、何でもない自分のクルマの周辺の空間が
どうなっていくか、想像することができるようになります。
まあ、ある意味での暇つぶしでもあるのですが、
さまざまな仮説を立てて心の準備をしておくだけでも、
大変有意義と感じながら私は運転しています。





また、私は十数年前に師匠について写真をやるようになったのですが、
写真をやっていると、視野の片隅にあるきわめて小さなものを意識できる
ようになります。
これも、追い越すときの安全、後ろにつかれた時の想定を素早くすることに
役立っています。これも慣れです。
見ようと思えば、結構細かいことが見えてきます。





結局、周囲のクルマの性格分析をして、
いまの運転、超近未来の運転に生かすということです。
危ない相手を早めに察知しておけば、リスクは回避しやすいですから。





で、
危険なあおり運転から身を守る方法ですが・・・
とてもシンプルです。
ここでは、高速道路上の話に絞ってその方法をお伝えしたいと思います。





まず、高速道路の「車線」について確認しておきましょう。





高速道路は、「走行車線」と「追越車線」があります。
片側2車線の道路なら1車線ずつ。
片側3車線なら、左から2つが「走行車線」、右端の1車線が「追越車線」。





「追越車線」は、連続走行してはいけません。
これは、立派な交通違反です。
〈通行帯違反〉(減点1。罰則金が普通乗用車で6000円)





また、「追越車線」を走行中に後ろから追いつかれた時に
道を譲らないと、これも違反となります。
〈追いつかれた車の義務違反〉。この違反も減点、罰則金とも通行帯違反と同じ。





この2つの違反に対する意識の低いクルマは、
非常に多いと私は思っています。





前を行く車がないのに追越車線をノロノロと走りつづけ、
後ろにつかれても譲らないクルマは、じっさい、
どこの高速を走っても大変多いです。
休日ほどそういうクルマは多いし、
特に片側2車線のときに多くなる傾向があると私は思っています。
そういうクルマがいれば、前をふさがれやすいです。





また、世の中には、
時速120キロを軽く超えるスピードで走るクルマがたくさんいますので、
あおられた体験もたくさんあります。





後ろにつかれたら車線を譲りますが、
ある程度混んでいると、左に入れないですよね。
そういう時は、前方にも車がつながっていることが多いのですが、
それでもあおってくるクルマはいます。





さて、そういう高速道路で、
危険なあおり運転から身を守るにはどうしたらよいか。





重要なポイントが2つあります。





1.追い越し車線を走るときは、後続車に気を配り、後続車の運転の特徴をつかんでおく





 運転の特徴といっても、高速では2つのことをつかめばいいです。
 一つは、スピード。自分のクルマよりスピードが速く車間が縮まってくるか。
 もう一つは、追い越したい気持ちが強くにじみ出ているか。車間距離の縮め方があおりのレベルなのか。そうではないのか。
 この2つで、よい。これでこころの準備ができます。





2.追い越し車線では、自分のクルマよりも速い車には、道を譲る





 通常は、単純にこれだけで、あおり運転から逃れられるはずです。
 しかし、これができないドライバーが非常に多いという気がします。
 速いスピードで走るとき、基本は走行車線を走り、
前方の車を追い越すときだけ追越車線を使えばよいのですが、
いっけん、この当たり前で単純な走り方も、
日ごろからそういう走行スタイルを習慣にしていないと、
なかなかできないのだと私は思います。





 それだけ、ときに頻繁に車線変更する運転の仕方は、慣れなければ、めんどくさいと感じるのではないかと。
また、カーブのとき、特に速いスピードで外側の車線に移動する際は、遠心力が働くので、若干テクニックが必要となります。クルマの性能も問題になります。慣れていなければ恐怖を感じてハンドルを切れないドライバーもいるでしょう。





高速道路はスピードが出る道路ですから、
多くのドライバーが、気をつけて前を見ながら走るべき
と思っているはずです。
また、頻繁に車線変更することは危険だからまっすぐ走り続けたい
と思っている人も多いのではないでしょうか。





しかし、後ろから迫りうる危険から身を守るためには、
常に後ろを意識して走る
いつでも安全に車線変更ができる運転に慣れる
ということが非常に重要になると私は考えます。





これは、単に自分自身があおり運転から身を守るだけでなく、世の中から高速道路でのあおり運転を減少させるためにも、大変重要なことだと私は思います。





そして、あおり運転を減らすことは、高速道路上の無用なストレスを減らすことになるだろうな、と。それは、事故の減少につながるはずです。
結局は、クルマ同士がお互いの都合を尊重しあい、賢く効率よい運転をトータルで実現することにつながります。





こうなると、非常に、ビジョナリーになってきます。





あおり運転から身を守る運転、という切り口から、よりよい社会の一端を実現するプロデュースにつながっていきます。