自分の蝶を放て!

去るか、残るか。魅力的な転職先を見極める4つのポイント






エンプロイアビリティの重要性が多くの人々に認識されてくると、働く側が企業を見る目は大きく変化していく。
そこで働くことでエンプロイアビリティが高まる企業かどうかということが、非常に大切な視点になる。
自分のやりたい仕事ができて、しかも、ひとつの企業の枠を超えて将来がひらけるかどうか。
具体的には、企業に、つぎの4点に十分応えてくれるフィールドがあるかどうかということである。





・他社でも十分通用するだけの専門能力を磨くことができるか。
・質の高い最先端の情報が得られるか。
・将来役に立つ人脈が得られるか。
・プロとしてのマインドが磨かれるか。





ながく勤められることはいいことだが、かりに、短期間しかその企業に在籍しなかったとしても、自分の能力を十分にいかして成果をあげることができるかどうか、成果に見合った処遇が保証されるかどうかも、その企業で働くことを選択する重要な条件になる。人材流動化が進めば、中途入社者がハンディなく働けるかどうかも問われる。
企業にとっては、自立したプロフェッショナルとしてやっていく実力のあるビジネスパーソンを、どれだけ引きつけ、長期的に気持ちよく成果をあげてもらうことができるかどうかが、最重要課題になる。
魅力的なフィールドをエンプロイアビリティの高い人材に提供できない企業は優れた人材を市場に放出せざるをえず、また、放出した人材以上の人材を新たに採用することもできず、競争のなかで勝ち残ることはできない。
つまり、ビジネスパーソンのエンプロイアビリティが問われていくほどに、企業はエンプロイメンタビリティ(employmentability ビジネスパーソンに働く場として選ばれる能力)が問われていくのである。
報酬・ポジションなど、納得できる処遇が得られる組織かどうかは、エンプロイメンタビリティの重要なポイントだ。だが、それだけではない。
仕事の面白さ。キャリア創造へのサポート態勢。オフィスの快適さを含めた職場の充実感。切磋琢磨できる仲間の存在。トップの人格。ビジョンや経営理念。通勤の快適さ。時間的なゆとり。新しいものへの許容度。社会的なイメージ。社会貢献の姿勢。人間性。かっこよさ。
こうしたもの全てが、エンプロイメンタビリティの要素になる。
そして、そこで働く社員のエンプロイアビリティが高まる組織化どうかは、もはや、エンプロイメンタビリティの重要な要素になっている。
社会心理学者のエドガー・シャインは、雇う側の組織と雇われる側の個人の間には心理的契約が成立しているとした。
組織も個人も、それぞれ相手にたいして期待をもっている。組織は個人にたいして「組織のイメージを高め、ロイヤリティーをもち、秘密を保守しながら、組織のために最善を尽くしてくれる」ものと期待し、個人は組織にたいして「人間として尊重され、仕事と成長の機会があり、欲求を満たしてくれ、自分のやった仕事の善し悪しを正当に評価してフィードバックしてくれる」ものと期待するというのである。
組織は、これからも個人のそうした心理的契約関係によって成り立っていくだろう。しかし、その時間軸の長さは相当に短くなっていかざるをえない。すくなくとも、定年までの長いスパンで判断すればいいという感覚はナンセンスになる。
ビジネスパーソン一人ひとりの生活基盤やモチベーションの源泉は、急速に多様化していく。それにあわせて働く場と条件のオプションを準備することが、企業のエンプロイメンタビリティを高めることは間違いないだろう。
そして、これからのビジネスパーソンは、自分のエンプロイアビリティを磨くことのできる組織で、一生懸命仕事をしてキャリア創造しながら、組織に成果を提供しようと考えるだろう。