「誰からも好かれたい」は、実は遠回り
「みんなに好かれたい」「できるだけ多くの人に受け入れられたい」
そんな気持ちを抱いたことはありませんか?
起業、副業、婚活、転職——
現代を生きる私たちは、常に「選ばれる」ことを求められています。
だからこそ、嫌われることに敏感になります。
でも本当に、“万人ウケ”が成功の条件なのでしょうか?
私は、ふと立ち寄った喫茶店で教えられました。
その店には独特の空気が流れていて、入り口の張り紙には「お子様連れの方、ご遠慮ください」とありました。一見、不親切に思えるかもしれません。でも店内には、静かなジャズと丁寧な接客を愛する常連客が、安心した表情で過ごしていました。
聞けば、こうしたルールは「静かに過ごしたいお客様に最高の時間を提供するため」。
つまり、「10人のうち9人に嫌われても、1人に深く好かれる店づくり」をしていたのです。
万人に好かれる必要はない。
むしろ、「誰か一人の心に深く届く場所」を目指した方が、満足度も、支持も、安定も得られる。
私はその店で、静かにコーヒーを飲みながら、そんな確信を持ちました。
選ばれるには、まず「自分から選ぶ」こと
同じことは、人間関係、特に恋愛にも言えると思います。
「モテるのに結婚できない」
これはよくある話です。なぜなら、選択肢が多いと、人は決断できなくなるからです。
「まだ他にもいるかも」「もっといい人が現れるかも」
そう思っているうちに、目の前の相手に向き合えず、時間だけが過ぎてしまう。
一方で、選択肢が少なくても、自分にとって本当に必要な人を見極められれば、それは大成功です。
結婚だって、必要なのはたった1人。100人にモテる必要はありません。
だからこそ、自分がどういう人と出会いたいのか、どういう関係を築きたいのかを「プレゼン」することが大切です。
「こういう人は苦手です」と明言すれば、その人たちは離れていきます。
でも同時に、「こういう人を探しています」と打ち出せば、その条件に共鳴する人が集まってくるのです。
結果的に“モテ度”は下がるかもしれませんが、出会いの質は格段に上がります。
恋も、仕事も、採用も同じ。
まずは、「私はこういう人とつながりたい」と自分のほうから選ぶ姿勢が、相手から選ばれる力になるのです。
「あなたに届けたい」からすべては始まる
これは採用活動でもまったく同じです。
「どんな人でも大歓迎です!」と間口を広げるより、
「こういう理由で、こういう人材が必要です」とはっきり言い切る企業のほうが、実は優秀な人が集まりやすい。
限定されたメッセージに共鳴した人は、「この会社に自分が必要とされている」と感じ、強い動機で応募してくれます。
1000人の“なんとなく”より、100人の“本気”に出会うほうが、時間もエネルギーも有効に使えます。
これは仕事だけでなく、人生全体に通じる真理です。
誰にでも受け入れられようとすることをやめたとき、はじめて「自分らしい声」が届きはじめる。
自分を好きになってくれる人と、深く関係を築けるようになる。
嫌われる勇気とは、実は“響きあえる誰か”と出会うための第一歩なのです。
おわりに:森を歩きながら、考えていること
私は、写真を撮りながら森を歩くのがライフワークです。
鳥の声、木漏れ日、土の匂い。
そこには、何も語らずとも確かに「わたしだけの時間」が流れています。
誰に見せるでもなく、誰かの評価も気にせずに、ただ静かにシャッターを切る。
そんなとき、「このままでいいんだな」と、心のどこかが整っていくのを感じます。
文章も、人生も、同じです。
すべての人に届かなくていい。
大切なのは、「届いてほしい誰か」に、ちゃんと届いているかどうか。
あなたが、あなたのままで選ばれることを、心から願っています。