「自分のやりたいことを、どうすれば相手に伝えられるか?」
「どうすれば共感してもらい、応援してもらえるのか?」
ビジネスでも恋愛でも、人はこの問いに頭を悩ませています。自己表現とは、文字通り“自分を表現する”こと。
私は何がやりたいのか、これを熱く相手に伝えることは本当に大事なことです。
熱くと言うのは口角泡を飛ばすようにまくしたてることではありません。静かな口調でも、心の底に厚いマグマが燃えたぎっていることが、じわじわと伝われば、それで十分です。
さらに気持ちを込めて表現しないと、相手は心を動かしてくれません。それが、熱く、という意味です。
「WIN-WIN」で壁を突破する
人を動かすには、「自分の得」だけでなく、「相手の得」も提示することが必要です。これが、いわゆるWIN-WINの関係です。
たとえば、あなたの提案に相手がこう思ったとしたら──
「それ、あなたは得するけど、私は損するよね」
──その時点で、説得はほぼ失敗です。
どんなに素晴らしいプレゼンでも、相手の好みや価値観に合わなければ意味がありません。熱意や情熱は必要ですが、「これはあなたのためにもなる」と、相手のメリットを含めて語ることが大切です。
自分の“やりたいこと”を、相手の“欲しいこと”と結びつける
人を口説くとき、相手が本当に欲しているものは何か?を考えることは大事です。でも、それだけにとらわれすぎると、自分を見失います。
自分が「なぜ、それをやりたいのか?」という動機を持ち、語れること。これが、提案に説得力と“迫力”を生むのです。
たとえば、ある営業マンはこう言います。
「これを買っていただけたら、今月ノルマ達成なんです!あと100万円で全国1位なんです!お願いします!」
一見すると自己中心的。でも、そのストレートさや一生懸命さに心を動かされ、「よし、力になろうか」と思う人も少なくありません。
こうしたやり取りの中で信頼関係が生まれ、時間をかけてWIN-WINの関係が築かれていきます。
やりたいことが、社会や人の役に立つとき
本気でやりたいことを語る人は、魅力的です。そして、そのやりたいことが相手や社会にとっても価値があるとき、実現の可能性はぐっと高まります。
自分のやりたいことを、相手の役に立つものとして提案する。
相手の欲求と、自分の情熱が交差する場所を見つける。
そうすれば、それはもうただの“わがまま”ではなくなります。
“私のやりたいことは、あなたの役にも立つ”
この構図があってこそ、プレゼンは最強の説得力を持つのです。
だから、静かに目を閉じて、自分の情熱がどんな風に社会に貢献できるのか──
ときどき、そんなイメージをしてみることは、たいへん意味のあることです。
コミュニケーションの真実
最後に。人を本当に口説くときに忘れてはいけないのが、「相手のペースを尊重する」ということです。
強引に押されるのが好きな相手には、最後だけちょっと強引に。
自由を好む相手には、「あなたが決めたこと」と感じさせるような流れを。
プレゼンはライブです。
そのとき、その場の相手に合わせなければ、伝わるものも伝わりません。
でも大丈夫。
それをわかって、自分のやりたいことをしっかり持って自己表現をしていけば、かならず、口説くべき相手を口説くことができるはずです。