コンサルタントの事件簿

「なぜ」は、幸せをうみだす問い

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目の前に「問い」があると、ひとは答えたくなる。だから考える。
そして、納得できる答えを探し出すために、自分と向き合うことになる。

答えは、すぐには出ないかもしれない。しかし、「問い」がある限り、いったん忘れていても、じつは頭のどこかで考えつづけている。だから、ふとした拍子に、これだ、とひらめいたりする。

「問い」にはいろいろあるが、ひとの意識を深層に向かわせる問いといえば、「なぜ、〜なんだろうか?」という問いだろう。

なぜ、私は彼女のことが好きなんだろうか?
なぜ、昨日のプレゼンは、相手に届かなかったのか?
なぜ、私は、今の仕事を選んだのか?

自分と向き合って「なぜ」に答えを出すことは、いつもワクワクドキドキが伴う魅力的な謎解きになる。仮にいま、どんなに悩んでいたとしても。

逆に、「なぜ」を話せると、すごいパワーが生まれる。

私は、こんなことがやりたいんです。
いまの会社をこう変えたいんです。
あなたと一緒に、こんな未来を創っていきたいんです。

なぜかというと・・・

こういうときの「なぜ」は、すでに考えてきた歴史の裏付けがある。もしかしたら、考えただけではなく、すでに行動し、様々な体験的学びを経ていたり、実績を踏まえたりした上で、こうしたい、と言っている。
「なぜ」の中身を聞けば、それが分かるだろう。

「なぜ」は、その人の中から出てきたインサイドアウトなものであり、そこに思いがあり、しかも説明をロジカルする。

ビジョンを語るとき、「なぜ、そのビジョンなのか」を同時に語ることはたいへん重要だ。いや、自然に「なぜ」を語らなければおかしいだろう。
「なぜ」は大きな説得力を生みだす。自分自身にたいしても、大きな納得感のもとになるし、モチベーションの源泉にもなる。

フィンランド語で、「なぜ」は「ミクシィ(Miksi)」という。
フィンランドでは、小学校から「ミクシィ」をいつも意識させ、「なぜ、そうなのか」を説明できるように教育される。さらに、1枚の写真から、魅力的なストーリーを創作する訓練をしている。ストーリーを組み立てるときにも、「なぜ、そうなるのか」を言わなくてはならない。
その結果、20年をかけて世界最高水準の教育国家と評されるようになった。
「ミクシィ」と「物語作り」は、自分で新しい仕事を作りだす能力にもつながっていて、大学卒業後に、すぐに起業する若者が多いのも、その現れだと私は思う。

藍坊主(あおぼうず、と読む)というロックバンドがある。武道館でワンマンライブもやっている人気バンドだ。
リーダーの藤森真一さんは、ベーシストであり、詩と曲を作るひとだが、どうにも「やる気スイッチ」が入らない日に、スイッチを入れる方法を見つけたという。
それは、ノートを開いて、見開きの左上に、「俺は、なぜこんなにやる気が出ないんだろう?」と書くことだという。そうすると、余白に、なぜやる気が出ないのか、その理由を書きはじめることになる。問いがあると、答えを出したくなるのが人間なのだ。
すると、その理由を書いているうちに、頭が回りだし、どうすれば、やる気が出るのか、楽しい状態に変わるのかが分かっていく。
藤森さんによれば、ノートに一つの問いを書くだけで、その一日が、
「例えるなら、大手スーパー自社ブランドの第三のビールと、琥珀ヱビスくらい違う」ことになるのだという。
眠れない夜にも応用しているらしく、ノートをひらいて、自分の状況を「なぜ〜」と問いかけて答えを探しているうちに眠れるようになるそうで、この解決方法ができてから安心して日々を過ごしているとのことだ。

ひとは、なぜ、と自分に問いかけることによって、様々な問題を解決し、一日を明るくできる。
「なぜ」には、未来に向かってワクワクドキドキしながら、思考し、行動し、自分と人を幸せにしてしまう、すごいパワーがある。