コンサルタントの事件簿

不思議な相性を大事にする






電話をして、相手が不在のとき、却って「この人とは縁があるな」と感じることがある。





電話をするのは、その日に電話する約束があったからだったり、相手から電話をもらったが不在で、折り返し電話しなくてはいけないときだ。





しかし、電話をかけなくてはいけないのだが、心のどこかで、いまはその人と話したくないな、と思うときがある。約束通り仕事が進んでいないとき、明日まで待ってもらったほうが、予定もはっきりして、スッキリした気分で自信をもって前向きの話ができるのに、今日はまだちょっと中途半端でノリが悪い話になっちゃうなあと思うときである。





それでも、そのタイミングで電話すべきだと思うので電話する。





そういうときは、電話の呼び出し音が鳴っている最中も、どこか心の中ではわずかながら引っかかるものを感じたりする。





ところが、相手が不在だったり、体調を崩して休んでいて、明日出てきますよという状態だったりすると、むしろホッとしてしまう。よし、この隙に頑張って、明日またスッキリとした気持ちで連絡しようと思ったり、申し訳ないけど、今日は遊ばせてもらって元気になって明日連絡させてもらうとしよう、などと思ったりする。





不思議に、こういう相手とはいい仕事ができる。多少、予定が遅れたとしても、却っていい結果が出ることが圧倒的に多い。後ろ向きの話、言い訳をしなくて済むから、その分関係もさわやかな状態に保つことができる。





「今日できることを明日に延ばすな」という格言がある。そういう心がけでやらないと成功しないという教えだ。かつて私が勤めていたリクルートの創業者、江副浩正氏は、そのことにいつもこだわってきたという記憶がある。それだから、リクルートを急成長させることができたのは間違いないだろう。





この格言にしたがったほうがいいときは、確かにある。しかし、江副さんには怒られてしまうかもしれないが、「明日できることを、無理に今日やるな」という格言があってもいいと私は思う。理屈で納得いく説明ができなくとも、なぜか、今日は無理強いしないほうがいいと直感が自分に諭すときがある。





自分が、なぜかそう感じたとき、相手がそれに合わせてくれたかのように不在だったり、都合が悪かったりしてくれた相手というのは、相性がいい人なのである。それは、楽でつきあいやすいというだけではない。成果のあがるいい仕事になるという意味でも相性がいいのである。





ぐうたら加減が一緒のレベルということもあるかもしれない。しかし、こちらも相手も、やるときは徹夜してやる。仕事が遅いということではない。





論理的に表現できないが、それは「波長」だと思う。





人間関係は、いつも、こうあるべきという理屈を全面に押し出して白黒つけようとしてはいけないものだ。





いい子の自分が、いつもうまくいくわけではない。ときには、悪い子同士、何とかしましょうよという構えが、創造的な結果をもたらすと思うのだ。





理論武装より相手と波長を合わせるほうが大事な場面は多い