コンサルタントの事件簿

プロデュースとは①






一つのビジョンのもとに、人々の力を借りて「新しい何か」を創りだし、現状を変えること
それがプロデュースである。
もっとも自分らしい仕事を自分の手で生みだし、その仕事によって、自分と関係する人々、あるいは広く社会に対して価値あるものを提供する。そして、同時に、自分自身の人生、キャリアを切り拓いていく。
こうした生き方を実現することは、周辺世界と響きあいながらプロフェッショナルになろうと志向する人々にとって最大のテーマであり、夢である。
専門性を磨いて、自立し、刺激に満ちた時間のなかで自分のやりたいことを追求し、それを社会のためにも役立てていくということは素晴らしい生き方だろう。それが自分の社会的評価につながり、さらに生きる糧を得る手段となるなら言うことはない。
こうした生き方を追求する人は、みずから変化を創りだす。
変化は、社会(あるいは組織、市場、業界、数人のチームやサークル、家族など小さな集団)に影響を与え、サムシング・ニューをもたらす。そのプロセスでは、変化を起こすという試みにさまざまな人々が共感とともに参加していく。そこには、関わった人たち一人ひとりがキャリアを拓く場がつくられ、彼らの人生に大きなインパクトをもたらす。
そして、何より自分自身が変わっていく。
このような行為こそ、プロデュースである。





プロデュースとは、ビジョンに向かって新しい何かを生みだすことである。
「新しい何か」は、かたちのないものでもいい。モノではなく状態でもいいし、人でもかまわない。
プロデュースには、何かを仕掛けて変化を生みだすというニュアンスがある。ただ創りだすだけではない。
誰かをあっと驚かせたり、感動させたり、ワクワクドキドキさせる要素が、プロデュースにはある。
プロデュースにはエンタテインメントの要素があり、プロデュースのプロセスで周囲の人を巻き込んで進んでいく特性がある。人を、「自分も、そのプロデュースに一役買いたい、参加したい」という気持ちにさせるのである。
新しいモノや状態、人をプロデュースする目的のなかには、自分(たち)がやりたいことを実現するという自己実現の欲求と同時に、誰かに向けて新しい価値を提供してやろう。誰かの心に変化を起こさせてやろうという、自分以外の誰かに、何らかの価値を提供して相手を喜ばせようというサービス精神が含まれていることも少なくない。





プロデュースは、「自分が何をやりたいのか」「それは、なぜか」というメッセージを周囲に発信することからはじまる。
メッセージが魅力的なものであれば、新しい未来のイメージを具現化することに何らかの積極的な関わりを持とうとする人が必ず現れる。メッセージは、新しい動きを生みだす源泉になる。
メッセージのなかに、「たまたま一人の人間がやりたいと思った」という個別性を超越した普遍性があれば、メッセージは広い範囲に、どんどん「独り歩き」して広がっていく。
一個人から発せられたメッセージが、多くの人々の心のなかにしまってあったものに火をつけることは、けっして珍しいことではない。(②へ続く)