コンサルタントの事件簿

リスクとプロデュース






プロデュースにはリスクがともなうように思われる。
それは、その通りである。
やってみなければどうなるか、はっきりわからない部分を残したままスタートするのがプロデュースであるから、リスクがあるのは当然なのだ。
できるだけリスクを冒したくないという観点から、集団で合意がとれるような確実で安心な方法を最優先で選択することが、結局ベストなのだと考える人は少なくないだろう。
しかし、何かをやってみようというアイディアがあるとき、あるいは、どうしても何かをやりたくてたまらないというエネルギーを持っている人がいるとき、それをやらぬままに済ました場合どうなるだろうか。
はたして未来は現在よりも良くなるだろうか。これから起きる変化に対応しながら、現在の望ましい状況を維持できるだろうか。目指したいビジョンに近づいていけるだろうか。
こうした「何かをやらないままに済ませたときに生じるリスク」がどのくらい大きいかという観点が欠落したまま、プロデュースのリスクが強調されることは非常に多い。
その背景には、意思決定者の自分自身が獲得してきた立場や利権が、新しいプロデュースによって崩れかねないという不安があることもある。
また、新たな提案が現状否定につながり、上司や先輩の心証を損ねたり、意思決定者であるリーダーの意向に背くことになり、それが自分自身の立場をまずくするから、やめておく、という選択肢をとろうとする人間心理が働くこともある。
しかし、やらないこと、目先のリスクを冒さないことで、かえって大きなリスクを背負い込んでいくことは非常に多い。
一見リスクを冒すように思われるプロデュースをやった場合に、かえってより大きなリスクを回避できる可能性は常にある。
「何もやらないで済ます場合のリスク」を示し、いっぽうでプロデュースのリスクを減らして成功に結びつけていく方法を示すことは、プロデュースを実現させるために非常に重要だ。
そうすることで、全員の合意をとってはじめることが不可能でも、多くの人の賛同を得てスタートできる可能性は、ぐっと高まる。