自分の蝶を放て!

なぜ“ビジョン”が人生を動かすのか?──ギャップを超えて未来をつかむ方法






ギャップを超える力





現状と実現したい未来の間に大きなギャップがあっても、未来の実現を信じてやる気になった瞬間に、何かが大きく変わります。





本田宗一郎に学ぶ「ビジョンの力」





本田技研の創業者・本田宗一郎氏は、まだ浜松の社員二十人ほどの町工場時代から、「世界一のバイクメーカーになる」とみかん箱に乗って毎朝宣言し続けていました。
当時の会社の現状とは大きなギャップがあったものの、ビジョンを信じる人たちはその実現に向けてエネルギーを燃やし続けました。





最初は信じられない人もいますが、少しずつ新しい成果が生まれることで、ビジョンを信じる人が増えていきます。
会社の規模が拡大し、社会からの評価が高まり、バイクレースで好成績を収めるようになると、「世界一のバイクメーカーになる」というビジョンが現実味を帯び、実感が共有されるようになりました。





ビジョンとは何か





ビジョンとは、「現状から飛躍しているが、実現を信じることのできる未来像」です。「思い」と「ビジョン」の間に大きな差はありませんが、共感が集まり「私も応援したい」という人が増えたとき、「ビジョン」という言葉がふさわしくなります。





ビジョンは、「これから未来に向かって実現したい」「こういう状況が生まれてほしい」という思いであり、過去の後悔ではありません。





ビジョンの発生源となる心理は2通りあります。





  • 「何かを成し遂げたい」「誰かのようになりたい」という前向きな夢や憧れ
  • 「もうこんな状況はいやだ」「何とか脱却しないと大変なことになる」という現状へのアンチテーゼ




両方がセットになっていることもありますが、「いまの状況から逃れたい」だけではなく、「どういう未来を実現したいか」までイメージできて初めてビジョンが生まれます。





ビジョンという言葉の歴史





1980年代後半には、企業経営の現場で「目標」とは違う「ビジョン」が組織変革や開発創造に有効だと認識され始めました。
当時出版された書籍や政府の報告書では「ビジョン」が「大まかな計画」として使われることが多く、定義が曖昧でした。





1990年代後半から「ビジョン」は急速に浸透し、今ではマネジメントに欠かせない概念となっています。
ビジョンは共有されるべきものであり、公共性を持つ場合は、内容だけでなく表現も魅力的で論理的であることが求められます。





一点ではなく方向性を示す





ビジョンは「ゴール」そのものではなく、未来の「状況」や「方向性」を示します。





たとえば、「売上3,000億円を目指す」や「彼女と結婚する」といった明確な一点ではなく、「世界中のユーザーから一生つきあいたいと思われるカメラメーカーになる」や、「彼女と一緒に、いつも笑顔があって癒される家庭をつくりたい」といった、未来の状況を示すのがビジョンです。





ビジョンが実現すると、どんな物語が展開するかというイメージが膨らみやすいのが特徴です。





行動を起こす思考をつくる





ビジョンが魅力的で、実現したいと願い、しかも実現可能だと信じられると、人は必ず動き始めます。
ビジョンは行動を起こす思考を作り、共感者を集める力があります。





ビジョンを語ることで、共感者と出会い、戦略やアイデア、情報、人脈が集まってきます。
ビジョンを語るたびに反応が返り、支持の度合いも実感できます。
プレゼンの場数を踏むことで、表現力や熱意も磨かれ、周囲の期待が自分への良いプレッシャーとなります。





こうして自分の頭の中も、周囲の環境も、ビジョンに向かって動き始め、逃げ道がなくなっていきます。
だからこそ、ビジョンは行動の基盤となるのです。





まとめ





魅力的なビジョンは、あなた自身のモチベーションの源泉となり、人を動かし、突破口を開くアイディアを生み出します。
副業・転職・独立など、何か新しい一歩を踏み出したいと考えるあなたも、まずは「どんな未来を実現したいか」を明確に描き、語り始めてみてください。
そのビジョンが、あなたの人生を大きく動かすはずです。