コンサルタントの事件簿

プロって何だ?






プロ意識が大事だということは、企業では、だいぶ前からいわれてきた。
だが、プロ意識という言葉は、多くの企業で、「プロっぽい感覚をもって、高いレベルをめざして真面目にやりましょう」というファジーなニュアンスで使われてきた。雇う側も、雇われる側も、プロとは何かをしっかりと確認しあうのを避けてきたのだ。
じつは、これが、働く人に多くの悩みを提供している。
プロとは何か。
自分の技術、ノウハウをつかって、自分を雇う相手に価値提供をし、その見返りに自分の納得できる報酬をもらう人。これがプロだ。
つまり、「納得できる報酬がもらえないなら、今回はお引き受けできません」と、自分の判断でいえる人がプロなのである。
逆にいえば、ひとたび合意したら、しっかりと雇い主の求める水準以上の仕事を提供する人でもある。
そういう人は、当然高い成果をあげられるから、組織にとっては大変ありがたい。しかし、しばしば、通常の給与体系では処遇できないような高い水準の報酬を払わなくてはいけない可能性が発生する。
また、直属の上司と意見が対立したときに、その上司が、その人の雇い主としての権限をもっていなかった場合、その人は、上司のいうことを聞くべきか、雇われたときの雇い主との契約事項を優先すべきかで悩むということが起きる。





採用の際に、「あなたにはこういう役割を頼みたい」といわれていたのに、実際には異なる職務をやれといわれるケースは、しばしばある。
また、「地球環境の保全と貧困に苦しむ人たちの問題解決に、積極的に貢献していきたい」という会社の姿勢に共感して、「自分の能力と実績を生かして、そういう会社の役に立ちたい」と入社してみたら、裏で汚染物質の垂れ流しをしていたり、弱者に冷たい儲け主義的な体質だったという場合も、実際にはあるのである。
しかし、その人がプロなら、そんなときに、余裕をもっていくつかの選択肢を立てて判断することができる。たとえば、こんなふうに。
(その1)この会社はダメだ。納得できない。転職しよう。
(その2)たしかに話は違うが、このフィールドで一暴れして、能力をさらに磨いて実績をつくろう。その価値はありそうだ。それから次を考えよう。ただし、長くても二年以内に判断しよう。
(その3)この会社で影響力をもてるように自分の能力と存在感を高めて、会社の体質を変えるべく行動を起こそう。やるだけやってみて、それでダメなら、そのとき決断しよう。





プロ意識をもって仕事をし、どこに行っても通用するプロになっていれば、いざというときに自分を殺さずにすむ。それは結局、心の余裕につながる。自分らしい人生を自然体で生きていく力になる。





どこでも通用するプロになることが自分に余裕をもたらす