コンサルタントの事件簿

プロデュース思考の全体像②






Ⅱ. STRATEGY どんな方法によってプロデュースを実現するか





鍵になる質問
(3)「コアテーマは何か(突破口を開く鍵となるアイディアは何か)」
(4)「自分に何ができるか(自分の果たす役割は何か)」
(5)「誰に何をやってもらうか(誰にどんな役割を担ってもらうか)」
プロデュースには、実現に向けて、どうすれば壁を突破できるかという問いに答えを出す戦略的な要素がなくてはいけない。
これを切り札にできるから実現するのだ、という戦略や方法論をしっかりとイメージできれば、具体的成果が生まれると信じることができる。そして、モチベーションを長く維持することもできる。
これがあるからプロデュースできる、という鍵になるアイディアがほしいのである。
数々ある制約条件のなかで、壁を越えて成果を生みだすためには、大胆に焦点を絞って取り組むテーマを設定するのがコツだ。
たとえば、競合G社に独占的にシェアをとられているX地区を担当することになった飲料メーカーP社の営業マンSさんが、ほとんどシェアゼロの状態から二年以内にシェアを逆転し、P社製品をX地区のトップブランドにするという「すごい仕事」をしたいと考えたとしよう。
普通なら、X地区の飲食店をくまなく回って一から地道に関係づくりを進めていくところだが、それでは長年にわたって築きあげられたG社と多くの店の関係を切り崩して二年以内にシェアを逆転するのはとても無理だという状況で、こう考えた。
<X地区には地域に非常に大きな影響力を持つ有力レストランチェーンV社がある。V社を「落とす」ことができれば、X地区の他の飲食店への営業は非常にやりやすくなる。なんとしてもV社を落とそう。そのためにはV社のオーナー経営者であるF氏にいいかたちで会い、いい提案をしなくてはいけない。V社の抱える問題点を教えてくれる人、F氏に引き合わせてくれる人、いい提案をするために協力してくれる人を探そう。そして、自分の熱い思いを話して人間関係をつくろう>
これが、営業マンSさんの「現在は競合G社に制圧されシェアがほとんどゼロのX地区で、P社製品を二年以内にトップブランドにする」というプロデュースを実現する「鍵となるアイディア」であり、焦点を絞って取り組む「コアテーマ」である。
これから何をすればいいのかが、きわめて明確になっている。日々の行動に迷いもなくなるはずだ。
だから、「すごいこと」が実現しやすくなるのである。





プロデュースを構想することは、そのアイディアを生かし、自分自身を生かし、協力者を生かし、チーム力を高めてプロデュースを進める仕組みを考えることである。
ビジョンを実現するために、自分に何ができるかを戦略的に考えることは、非常に重要である。
「自分に何ができるか」は、自分自身がやる気になり、やる気を維持し、自分の特性を生かしてできることを考えるべきである。自分一人の力では目的を達成できないとしても、それは問題ではない。
プロデュースは、全てを自分一人でやる必要はない。自分一人でできないことは、できる人と組めばいい。あるいは、できる体制をつくればいい。
それらも含めて、自分にできること、と考えればいい。
それがプロデュースである。
誰にでも、自分にできる方法がある。それを探しだすことこそ、プロデュースの鍵になる。
そして協力者を具体的にイメージし、いつ誰に何をしてもらうかを考えることが非常に重要なのである。
誰に何を頼むかということ自体が、「突破口をひらくアイディア」になることも少なくない。
「あの人が参加してくれればこの企画が可能になる」と、協力してくれる相手を具体的に想定しながら構想がカタチになっていくイメージを膨らましていく、プロデュースの基本だ。
プロデュースは、自分一人ではできないことを、人の協力によって実現する。それは、プロデュースに参加する協力者にとっても同じだ。だから、プロデュースは、関わった人すべてのキャリアを拓く機会になるのである。
プロデュースは、自分自身も含めて、プロデュースに参加する人間一人ひとりの能力や才能、志向、性格が生かされることが大事である。
なぜなら、それがチームのモチベーションを高め、一足す一が五にも十にもなるような大きな相乗効果を生みだすからだ。