コンサルタントの事件簿

反対多数でも実行できると考える






何かを変えようという場合でも、何かを創造しようという場合でも、プロデュースは、プレゼンの際に、「誰もが納得できる方法」を示しきれないものだ。
過去の事例や他社での成功を示せれば、相手を納得させやすい。
しかし、新しいことを仕掛ける場合には、示そうにも、ぴったり合った事例を示せないケースは多い。
したがって、会議の参加者のなかには、失敗した場合の混乱やコスト面のリスクといったマイナス要素しかイメージできない人が出てくる。
だから、必ず多くの関係者が出席する会議で合意をとって決定するというシステムをとっていた場合、強力なリーダーシップを発揮して反対意見を抑えて押し通せる人がいないと、プロデュースは、反対多数によって否決されるか、保留にされる可能性が高くなる。
プロデュースは、活動がスタートして、目指すビジョンが、しだいに多くの人に伝わり、また、途中で小さくとも成果が生まれていく過程があって、賛同者が広がっていくという特性がある。構想を説明されても、相手にとっては、当初は、よくわからない部分が、必ずあると思ったほうがいい。
したがって、当初は賛同者が少数でも、具体的に成果が出たときに賛同が広がればいい、と考えてスタートしてみようというマインドがプロデュースには求められるのである。
プロデュースには、多数決によって実施を決定するというスタイルは、向いているとはいえない。
新しいものを創りだそうとするとき、何かを変えようとするとき、立場が異なる反対者がいるのは自然なことであり、全会一致はおかしいともいえる。
逆に、賛成者、理解者が少ないほど、新奇性、インパクトの大きいものが生まれる可能性もある。
プロデュースは、賛成者が少しでもいれば、当初は十分だと考えていい。
もちろん、状況によっては、きちんと会議でプレゼンして合意を得ることは可能だし、そうできる場合はそうすればいい。
しかし、賛同者が少ない状況でプロデュースを計画するときは、多数決でゴーサインを決定するような会議には諮らずにスタートできる方法を考えるべきなのである。
できる限り目立たぬように静かにスタートし、多くの人が気がついたときには目にみえる成果が出ている状態をつくり、味方を増やしてから大きな会議の場にデビューする。
こういう考え方で成功したプロデュースは非常に多い。
プロデュースは、スタート時の妨害や反対をかわすことが重要だ。
立ち上がりの際に反対者と闘ってエネルギーを消耗してしまうことは、何としても回避したい。相手が強大な権力を持っていれば、芽が出る前に、いとも簡単につぶされてしまう可能性がある。
成果をカタチにするためにも、ムダな闘いはできる限り避け、プロデュースの影響力が増し、共感者、支援者、応援者が増えていく方法を考えたほうがいい。
そして、反対者とどうしても闘わざるをえないときがきたときは、しっかり闘って勝てる戦略を立てていく。
こうして、ビジョン実現に向かって、通常のルールや手続きではうまくスタートできない場合でも、行動開始できる状況をつくって、まずはじめようと考えるのがプロデュースに必要な考え方だ。