自分の蝶を放て!

いつも自分らしくあり続け、自分と交わした一番大切な約束を守り続けるために必要なこと






自分を取り巻く環境、自分の経験値、能力水準、自分が持ち合わせる情報は、常に変化していく。
自分自身はいつも一年前の自分ではない。
人生の転機は、学校の入学や卒業、初めの就職など、あらかじめわかっているものばかりではない。突然の配置転換やリストラもありうる。ヘッドハンティングのオファーもありうる。自分の内面で突然大きな変化が起きることもありうる。
自分の置かれた状況はいつも変わっていく可能性を持っている。
転機に行うべきコンセプトワークも、そのつど中身は違うものになる。
自分の原点に対する光の当て方、意味づけの仕方は、状況によって変わるかもしれない。しかし、自分の原点そのものが変わることは、そうあるものではない。
普遍性のある自分の原点を自覚することは、エンプロイアビリティを確立する第一歩となる。
自分の原点を定めることは、自分が何者であり、どんな能力、経験、情報、人間関係、環境を必要としているのかを明確にする。それは、自己認識だけではなく、自分とかかわる第三者にとっての認識にもなっていく。さらに、自分のフィールドワーク、ネットワークを有意義なものにしていくという好循環を生む。
また、変わらぬ原点があるからこそ、その他の部分で自分が変わっていくことを恐れないですむという効能が、「原点の把握」にはある。
変えるべきでない自分の大切な部分が明確になれば、それ以外のことを変えることには抵抗がなくなる。ときによっては、自分のいる環境や立場、生活スタイルがそれなりに恵まれたものであっても、自分の原点にあるものを守るために、リスクを負って、いったん、それらを捨てようという決断を下すこともしやすくなる。
成功体験にこだわらず自分を変え、大胆でチャレンジングに行動する人が、じつは、ただ自分の一番大事な変わらない(変えたくない)原点に忠実なだけだということは少なくない。
端からはリスクを負った判断をするように見えても、本人にしてみれば、自分の大切なものを危険にさらすというリスクを、いつも早めに手を打って回避している結果だったりするのである。
いつも自分らしくあり続けようとし、自分が自分と交わした一番大切な約束を守り続けていく。だからこそ、状況に合わせて、変えるべきでない自分の大切な部分以外の自分を変えることをいとわない。
そういう生き方は魅力的な生き方である。