コンサルタントの事件簿

コミュニケーション軸か、技術軸か






自分の得意なことを生かして仕事を続けられる人ほど、ストレスも不安も少ない。だが、だれにでも、得意を生かすだけではうまくいかないときがくる。





たとえば、発想力や独自の技術力を磨いて、組織の中でキャリアを積み、周囲から認められた人がプロジェクトリーダーに任命されたとき、まったく違う意識と能力が要求されることになる。





人をどう集め、その気にさせて動かすか。メンバーが気分よく力を出せる環境をどうやって創るか。メンバー間でトラブルが起きたときどう処理するか。プロジェクトをよく思わない反対勢力があらわれたとき、どうやって防御するか。生まれた成果をどうやって社内外に知らせ、プロジェクトの影響力を高めるか。こういう問題を解決できる能力が、要求されてくるのである。





自分の得意分野を生かしてうまくやってきたからこそ、存在感が増し、信頼を周囲から集めるようになって、リーダーとして期待されるようになる。それは、自分のやりたいことを実現できる環境が整ってきたことも意味する。だがレベルや役職があがったことによって、自分には、それまでとはまったく異質の能力が必要になるケースも多い。





そこで壁にぶち当たる。





この壁を越えたとき、人は、必ずステップアップできる。一皮むける。自分の得意な点を生かして、ぐっと大きな仕事ができるようになる。





二つの軸で考えるとわかりやすい。





一つが、コミュニケーション軸。もう一つは企画軸。または技術軸。技術と企画は重なるところがあるが、自分にあったほうを採用すればいい。





かりに、自分のコミュニケーション力を磨いて勝負しようという志向の強い営業マンの場合、力がついて、実績をあげて、しだいに大きな仕事を担当したり、難しいプロジェクトの指揮を執ったりするようになると、企画軸でいままでの殻を破らなくてはいけないときがくる。





エンジニアの場合、技術軸で自分を磨くのは当然だが、ある程度レベルが上がってくると、コミュニケーション軸でブレークスルーしないと、壁を越えられない場合が多い。





さらに成功すればするほど、二つの軸どちらも、得意だった軸も、そうではない軸もトータルに自分をランクアップさせる必要が出てくる。





しかし、得意の軸とそうでない軸というのは、あっていいのだ。





これを意識することで、不安は減る。対策がたつ。どうしても自分だけの力で及ばないときは、だれかに支援を頼めばいい。この部分は苦手だから手伝ってほしいといえば、支援してくれる人は、出てくるのである。





また、やってみて、どうしても自分に向いていないとはっきりしたなら、長く粘り続けることはせずに、うまくその立場を降りてもいい。専門職的にキャリアを磨いていく道は、これからは、ますます広がっていくのである。





二つの軸をとってみて自分の得意分野を自覚したり、得意の軸を生かし続けるために、もう一つの軸もこの辺までは磨いていこう、などと考えることで、ずいぶん楽になることができる。





得意の軸に磨きをかけよう。適性や能力を2つの軸で分析してみよう